
昔、代官山の「ベースメント」という店でテンガロンハットを見た。他に様々な輸入衣料品や雑貨があった。文化違いやそれを背景とした発想の違いにより、世界にはいろりろと面白いものがいっぱいあるのだろうから、そういった面白い(珍しい)ものを国内に紹介する仕事は、これもまた面白そうだと思った。
そんな事もあって、欧米製品の輸入にかかわる仕事についた。と言っても、衣料品ではなく、産業用機械の輸入が主であるが。
10年ほど前に、アメリカの小さな会社から、中古の半導体製造装置を改造してMCM(マルチ・チップ・モジュール)製造装置にするというプロジェクトを持ちかけられた。来日したそこの副社長をしゃbしゃぶの店に連れて行った際に、彼の事務所があるアリゾナ州フェニックスではいろいろな店が24時間営業をしており、衣料品店も24時間開いているとの話を聞いた。
アメリカ、衣料品店からなんとなくテンガロンハットが連想されたので「カウボーイがかぶる帽子なども売っているのか?」と問うと、「今度フェニックスに来たら案内する」との返答を得た。
輸出入にかかわっていながら一度も海外出張に行っていなかったが、その時は、そのプロジェクトの関連で行けそうな雰囲気だった。有効期限切れになっていたパスポートを再申請し、出張準備と買い物準備を進めていたが、いつのまにかプロジェクトは立ち消えになっていた。出張・買い物準備は徒労に終わった。
それでも、年に1〜2回半導体製造装置の保守部品をその会社からその後も買っており、取引は続いていた。テンガロンハットの現地調達はあきらめていなかったし、それゆえ国内購入もしなかった。
昨年、フェニックスに行ったら案内してくれるはずの副社長はアル中で仕事を離れ、会社も他のベンチャー企業経営者に売却したとのニュースが、その会社の元社外取締役をしていた人物からもたらされた。もうフェニックスには事務所はないらしい。そして、10年あったパスポートの有効期間も、気づけば昨年で再度切れていた。
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